Clinical Newswire

コンピューターによる注意力・記憶力トレーニングが、乳がん治療を受けた女性の注意力や記憶力の低下を改善することが、University of Readingの研究者らによって明らかにされた。

「ケモブレイン」とは、化学療法を含む乳がん治療の一般的な副作用である、物忘れ、集中力の低下、日常的な注意力の欠如などの認知機能の問題を指す。

Psycho-Oncology誌に発表されたこの研究結果は、適応型 “二重記憶追跡 “トレーニングプログラムが、乳がんサバイバーの持続的なケモブレインへの対処に役立つ可能性を示唆している。

研究を監督し、大学の乳がん回復力構築センターを率いるNazanin Derakshan教授は次のように述べている。
「乳がんサバイバーたちは集中するのに苦労している。このトレーニングにより、関連することに集中し、気を散らすものを無視する脳の能力が向上するようにみえる。この結果は、記憶トレーニングを2週間にわたって、たった12時間行うだけで、認知能力に有意義な向上をもたらすことを示している」

持続的な利益

このトレーニングでは、ユーザーは画面上の四角形の位置と、話し言葉の文字の順序を同時に追跡する必要がある。

パフォーマンスが向上するにつれて、タスクは難しくなる。

脳活動とパフォーマンスの測定では、適応型記憶トレーニングを行った女性は、より単純な非適応型バージョンを行った対照グループと比較して、トレーニング後の作業記憶と注意力が向上していることが示された。

1年後、記憶訓練グループは対照グループよりも認知能力が向上し、うつ病が少ないことも報告された。

次のステップ

研究者らは現在、記憶訓練プログラムの利点をさらに検証し、乳がんサバイバーのどのグループが最もよく反応するかを判断するために、より多くの参加者による大規模な試験を計画している。

彼らは、年齢や治療の種類などの要因がトレーニングの有効性にどのような影響を与えるかを調査する予定である。

画像研究では、トレーニング前後の脳の構造と活動の変化も調査される。

この研究を主導したBethany Chapman博士は次のように述べている。「ケモブレインの心理的コストと、臨床的不安やうつ病のリスク増加は、研究で報告されている中で最も高いものの一つである。認知効率を高めることで女性に自信を持たせることができれば、長期的に不安やうつから女性を守ることができる。この研究が英国や世界中の乳がんサバイバーの生活の質を向上させる新しいツールにつながることを楽観視している」

https://ecancer.org/en/news/23880-breast-cancer-survivors-new-training-to-treat-chemo-brain

（2023年10月27日公開）