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e-cancer:肺がん 肺がんの早期診断のバイオマーカーとしてのDNAメチル化

05 Mar 2025

肺がんの早期診断は、臨床診療における重要な優先事項である。

肺がんに関連した死亡率を低下させ、無病生存期間を延長し、患者が継続的な医学的介入や合併症を起こさずに生活できるようにするのに役立つ可能性がある。

肺がんの悪性腫瘍と良性疾患の鑑別には様々な診断法があるが、精度が低いため好ましくないと考えられる。

重要なエピジェネティックな変化であるDNAのメチル化は、様々ながんの腫瘍形成に関与している。しかし肺がんにおいては、循環腫瘍DNA(ctDNA)を介した診断的価値は、まだ解明されていない。

最近の研究で、ctDNAのメチル化解析が非小細胞肺がん(NSCLC)の早期診断に役立つことが示された。

Sichuan UniversityとStanford Universityの研究者らによってGenes and Diseases 誌に発表されたこの研究は、捕捉ベースのバイサルファイトシークエンシングを用いて、肺がんまたは良性疾患患者から採取した血漿および組織サンプル中のctDNAのDNAメチル化プロファイルを調査したものである。

この解析により、肺がんに特異的な276の差次的なメチル化マーカーが同定された。

予測された276のマーカーのうち、6つのマーカーが組織コホートにおいて肺がんと良性疾患との間で有意に異なるメチル化状態を示した。

このうち2つは肺がんで、4つは良性疾患で過剰メチル化が認められた。

同様に、血漿コホートでは 9つの差次的にメチル化されたCpG部位(DMS)が同定され、そのうち肺がんで過剰メチル化されていたのは2つのみで、残りの7つは低メチル化されていた。

これらのパターンに基づく診断予測モデルは、トレーニングおよび検証組織コホートにおいて、肺がんと良性疾患との鑑別に成功した。

診断予測モデルでは、血漿由来のメチル化バイオマーカーががんの早期診断に役立つことが示されたが、その感度と特異度は組織由来のマーカーより低かった。

さらに、組織検体と血漿検体間のデルタメチル化レベルにも有意な相関が認められた。

メチル化ハプロタイプに基づく解析により、DNA複製に関連する機構に富む組織検体で1,222の差次的なメチル化領域が同定された。

さらに、組織と血漿の両方において、メチル化パターンの差異と臨床的特徴、特に喫煙者と非喫煙者の間に有意な相関が観察された。

結論として、組織と血漿の両方におけるctDNAメチル化は、悪性腫瘍と良性疾患を効果的に鑑別することができ、早期肺がん診断のためのバイオマーカーとして大きな可能性を秘めている。

将来的には、CTスキャン、ctDNA変異、ctDNAメチル化パターンから得られるマルチモーダル情報を統合することで、早期肺がん診断の感度と特異度が向上する可能性がある。

 

https://ecancer.org/en/news/26070-dna-methylation-as-a-biomarker-for-early-diagnosis-of-lung-cancer

(2025年2月26日公開)

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