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18 Jul 2025
新たな研究により、過体重は心血管疾患を有する閉経後女性において、乳がんの発症リスクが特に高いことと関連していることが明らかになった。
この研究結果は、米国がん学会の査読付き学術誌CANCER誌において、Wileyオンライン版で発表された。
高い体格指数(BMI)は、閉経後女性における乳がんの既知のリスク因子であるが、このリスクが心血管疾患または2型糖尿病の有無によって異なるかどうかは不明である。
国際がん研究機関(世界保健機関の専門がん機関)に所属するHeinz Freisling, PhDを筆頭とする研究チームは、European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition(EPIC)およびUK Biobankのデータを用いて解析を行った。対象は、研究参加時に2型糖尿病および心血管疾患を有していなかった閉経後女性168,547人である。
EPICでは中央値10.7年、UK Biobankでは中央値10.9年の追跡期間後、閉経後女性6,793人が乳がんを発症した。
両研究の統合解析において、BMIが5 kg/m²増加するごとに、乳がんの発症リスクは追跡期間中に心血管疾患を発症した女性で31%、発症しなかった女性で13%、それぞれ上昇した。
2型糖尿病の発症は乳がんリスクに有意な影響を及ぼさないと考えられ、2型糖尿病の有無にかかわらず、BMIの高さに関連する乳がんリスクの上昇は同程度であった。
過体重(BMI≧25 kg/m²)と心血管疾患の併存は、乳がんの発症が予測値より10万人あたり年間153人多くなると推定された。
「本研究で得られた知見は、リスク層別化に基づく乳がん検診プログラムに活用できる可能性がある」と、Dr. Freislingは述べた。
「本研究はまた、乳がん予防を目的とした減量介入試験において、心血管疾患の既往を有する女性を含めるよう、今後の研究を促すべきである」とも述べている。
(2025年7月7日公開)