Clinical Newswire

人工知能に対する一般の意識に関する新たな調査によると、大多数の人々はChatGPTなどのAIツールによる自身の健康状態の診断を躊躇しているが、がん診断を支援するAI技術の将来性には期待を寄せている。

これらおよびその他の結果は、12月7日から10日にかけてワシントンD.C.で開催されたSociety for Risk Analysis年次総会において、全国代表調査2件の結果として発表された。

University of Southern California のSchaeffer Institute for Public Policy & Government Serviceの行動科学者Michael Sobolev博士と、City University of New YorkのBaruch Collegeの助教授である心理学者Patrycja Sleboda博士が主導する本研究は、公衆の視点に焦点を当てている。具体的には、医療においてAIが最も一般的に使用され、影響力のある用途の1つであるがん診断という観点から、AIに対する信頼、理解、可能性、期待、懸念について調査した。

また、こうした世論が年齢、性別、教育水準などの人口統計学的特性によってどのように異なるかも検証する。

本研究では、2つの全国代表調査データを用いて、ChatGPTのようなAIツールの個人利用と医療AIへの一般的な信頼が、子宮頸がん診断用AIツールの受容度とどのように関連するかを評価した。

重要な結果：

• 大多数の人々は依然としてAIよりも医師を信頼している。健康問題の診断において、専門家と同程度にAIを信頼すると答えたのは約6名に1名（17％）に過ぎなかった。
• AI（ChatGPTなど）を試したことがある人々は、医療分野におけるAIの応用についてより前向きな見方をしている。私生活でAIを利用したことがある人は、医療分野でのAI活用についてより理解が深まり、期待感と信頼感が高まったと回答した。（回答者の1％はChatGPTの存在を知っているが利用したことはなく、20.9％は存在を知っており、利用経験もある）
• 人々は危険ではなく可能性を見出す。参加者ががん早期発見を支援するAIツールについて知ったとき、大半はその大きな可能性を認め、不安よりも期待を感じた。

「われわれの研究では、AIにほんの少し触れるだけでも——単に話を聞いたり試してみたりするだけでも——人々がその技術に対してより安心感と信頼感を抱くようになることが示されている。AIに限らず、人々が新しい技術を受け入れる過程において、親近感が大きな役割を果たすことが研究からわかる」と、Sleboda氏は述べる。

最初の調査では、参加者はAI技術について聞いたことがあるか、または使用したことがあるかを報告し、健康診断におけるAIへの一般的な信頼度に関する質問に回答した。

2回目の調査では、子宮頸部のデジタル画像を分析して前がん性変化を検出できるAIシステム（自動視覚評価と呼ばれる技術）を研究チームが開発したという実際の開発に基づいたシナリオが参加者に紹介された。

次に、参加者は、この診断用AIツールに対する受容性の5要素（理解、信頼、期待、懸念、可能性）を1から5の尺度で評価した。

結果の分析によると、診断用AIツールを評価する際、潜在的可能性が最も高く評価され、次いで期待、信頼、理解、懸念の順であった。

男性として自己認識し、大学学位を有していることは、医療分野におけるAIの利用に対する信頼感、期待感、および可能性の高さと関連していた。

これらの参加者はまた、AIの使用全般に対する懸念が低いことを表明した。

「人々がAIについて一般的に語る内容と、実際の事例で感じる反応との間に大きな隔たりがあることに驚いた」と語るのは、ロサンゼルスのCedars-Sinai Medical CentreでBehavioural Design Unitを率いるSobolev氏だ。同氏は人間中心のイノベーション推進を目標としている。

「われわれの結果は、具体的な現実世界の事例について学ぶことが、医療分野における人とAIの間の信頼構築に役立つことを示している。」

https://ecancer.org/en/news/27388-study-finds-most-people-trust-doctors-more-than-ai-but-see-its-potential-for-cancer-diagnosis

（2025年12月9日公開）