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e-cancer:多発性骨髄腫患者におけるCOVID-19の治療

15 Apr 2020

中国、武漢の患者の症例研究は、免疫抑制剤トシリズマブが、多発性骨髄腫や他の血液がんを患っている重病患者にとって、COVID-19の効果的な治療になる可能性があることを示唆している。

Blood Advances誌で発表されたこのレポートは、血液がん患者が非定型のCOVID-19症状を示す可能性があることも示唆している。

2015年に多発性骨髄腫と診断され、維持療法を受けていた60歳の男性患者は、胸部の圧迫感と息切れのため2月に入院した。

この患者には咳や発熱の症状はなかったが、COVID-19の検査で陽性となり、重症として分類された。

患者の症状は、抗ウイルス療法とコルチコステロイド療法によって治癒しなかった。

入院2日目に、胸部CTスキャンの結果、患者の肺に肺炎の特徴であるすりガラス状の混濁が見られた。

炎症性サイトカインであるインターロイキン-6(IL-6)のレベルは高かった。

トシリズマブを1回静脈内投与したあとに、患者のIL-6レベルは減少した。

トシリズマブ治療の3日後、患者の胸の圧迫感は解消され、10日後にCTスキャンを確認後退院した。
「われわれの血液悪性腫瘍患者は免疫抑制されているため、新型コロナウイルス感染リスクが高くなる可能性がある。血液がん患者におけるCOVID-19の特徴は何か?最適な治療アプローチは何か?すべてが不明であり、それが この研究の動機である」と、研究の筆頭著者であり、University of Science and Technology of ChinaのChangcheng Zheng医師は述べた。

トシリズマブは通常、特定の種類の免疫療法による治療に反応して発生する全身性炎症反応であるサイトカイン放出症候群の治療に使用される。

Zheng氏らは、この薬物が、ウイルスが誘発する急性重度の炎症反応、すなわち「サイトカインストーム」に対処することにより、COVID-19を治療する可能性を示唆している。

しかし、Zheng氏らは、潜在的な作用機序に関するさらなる研究の必要性を強調している。

Zheng氏はまた、患者がCOVID-19にみられる症状、特に咳や発熱がなく、胸の圧迫感と息切れを患っていたため、ウイルスによる臨床症状は血液悪性腫瘍患者では典型的ではない可能性があると示唆している。

研究チームは、この症例研究が知見を提供し、より多くの研究が促進されることを期待している。

「トシリズマブは、この多発性骨髄腫患者のCOVID-19の治療に効果的であったが、結果を検証するには、さらに前向き無作為化臨床試験が必要である」とZheng氏は述べた。

2020年3月、FDAは、COVID-19の成人患者の治療における静脈内トシリズマブの安全性と有効性を評価するための無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験を承認した。

https://ecancer.org/en/news/17611-treating-covid-19-in-a-patient-with-multiple-myeloma
(2020年4月2日公開)

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