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30 Apr 2025
2025年3月31日付のOncoscience誌Volume 12に、「Cystadenofibroma and contralateral collision lesions: A unique ovarian case report」と題された新規症例報告が発表された。
All India Institute of Medical SciencesのNaina Kumar医師らが執筆したこの報告には、1人の患者に異なる2種類の良性卵巣腫瘍が認められた極めて稀な症例が示されている。
片側卵巣には漿液性嚢胞腺腫という稀な腫瘍がみられ、反対側の卵巣には衝突腫瘍が認められ、2種類の異なる嚢胞性腫瘍(漿液性と粘液性)が混在することなく隣接して増殖していた。このような特異的な腫瘍の組み合わせは、ごく少数の症例でしか報告されていない。
患者は41歳の女性で、数ヵ月前にわたり続く下腹部痛と腹部膨満感を主訴に受診した。
画像診断により、両側卵巣に嚢胞性腫瘍の顕著な増殖が認められた。
悪性の可能性を除外し、症状を改善する目的で、臨床医はこの女性の子宮および両卵巣・卵管の摘出術を実施した。
術後の検査により、腫瘍は悪性ではないことが確認され、患者は合併症もなく順調に回復した。
漿液性嚢胞腺腫は非常に稀で、良性卵巣腫瘍全体の約1.7%にすぎないとされる。
通常は無症候性で、定期的な婦人科検診で偶然発見されることが多い。
衝突腫瘍はさらに稀で、同じ臓器に2種類の異なる腫瘍が混在せずに併存する。
これらの腫瘍は良性であるにもかかわらず、画像所見から悪性腫瘍と類似する場合があり、術前の診断は極めて困難である。
この症例は、徹底した術前評価の重要性を強調するものである。
画像診断、腫瘍マーカーの測定、臨床検査はすべて、誤診や不必要な治療を回避する上で重要な役割を果たす。
本症例では、外科チームが腫瘍の特性を的確に評価し、適切な対応を行うことができた。
「正確な術前診断は、効果的な治療計画を立案し、患者にさらなるリスクをもたらす可能性のある不要な介入を回避するために不可欠である」
両腫瘍とも良性であったため、手術のみで十分であり、追加治療は不要であった。
本症例は、稀な卵巣腫瘍の併存に関する文献的知見を補完するとともに、卵巣腫瘍の研究に新たな洞察をもたらすものである。
また、特に画像所見が不明確な場合には、個々の卵巣腫瘍を個別に評価する必要性も強調している。
著者らは、この稀な症例を共有することにより、複雑な卵巣腫瘍を有する患者に最良の結果をもたらすためには、早期診断し、病理組織学な確定診断、個別化された外科的治療を行うことがいかに重要であるかを強調している。
https://ecancer.org/en/news/26280-rare-combination-of-ovarian-tumours-found-in-one-patient
(2025年4月8日公開)