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e-cancer:脳腫瘍 小児高悪性度グリオーマに対するavapritinibによる効果的な治療標的が明らかに

30 Apr 2025

これまでの研究から、血小板由来増殖因子受容体α(platelet-derived growth factor receptor alpha:PDGFRA)が成人および小児の高悪性度グリオーマの病因において多面的な役割を果たしていることが示唆されている。

PDGFRA遺伝子変異は小児高悪性度グリオーマ患者によくみられるだけでなく、PDGFRAの発現亢進はDMGの腫瘍の増大を促進する鍵となることが示されている。

このたびBoston Children’s HospitalのBrain Tumour CentreおよびDana-Farber Cancer Instituteのco-directorであるMariella Filbin医学博士が率いる多施設共同研究によって、PDGFRAが小児高悪性度グリオーマの治療標的となる可能性が示唆された。

Michigan Medical SchoolとMedical University of Viennaの共同研究者を含むFilbin氏の研究チームは、高悪性度グリオーマの特定の小児患者に対するPDGFRA阻害剤の使用を支持する初めての実臨床データも提供している。

小児高悪性度グリオーマ患者におけるPDGFRA変異の頻度を明らかにするため、Filbin氏らは小児高悪性度グリオーマ217検体のゲノムデータを解析した。

その結果、患者の約15%にPDGFRA変異が確認された。

トランスクリプトームデータを用いて、PDGFRA変異または増幅を有する腫瘍においてPDGFRA発現が有意に亢進していることも見いだした。

次に研究チームは、4種類のPDGFRA阻害剤(ダサチニブ、crenolanib、アキシチニブ、avapritinib)について、PDGFRA変異のあるグリオーマ細胞株パネルに対する活性を分析した。これらの薬剤の中で、avapritinibが最も高い有効性を示した。

さらなる前臨床試験で、avapritinibはオフターゲットのキナーゼ活性も最も低いことが判明し、avapritinibは意図しない副作用を引き起こす可能性が低いことが示唆された。

最後に、マウスモデルでの追加試験の後、研究者らはcompassionate use program(拡大治験)を通じて、高悪性度グリオーマを有する8人の小児および若年成人患者にavapritinibを投与した。

ほとんどの患者にDMGがみられ、8例中7例にPDGFRA変異がみられた。全例が以前に外科的生検または切除と放射線照射を受けており、4例は化学療法または他の治療法も受けていた。

1日1回、平均4ヵ月間avapritinibを投与した結果、3例にradiographic response(放射線画像による腫瘍の縮小)が認められた。忍容性についてもavapritinibは良好であった。これら3人の患者は、avapritinibに反応しなかった患者の約2倍生存したが、最終的には転移した。

この初期データは、avapritinibが一般的に安全であり、PDGFRA増幅を伴う小児高悪性度グリオーマ患者の少数グループにおいて初期臨床反応を誘発する可能性があることを示唆している。

「我々の研究は、現在、新たに診断された小児患者を対象としたavapritinibの臨床試験の基礎を提供するものである」とFilbin氏は述べている。「我々のフォローアップ研究は個別化治療のための遺伝子マーカーと、有効性を高めるためのFDA承認薬との併用療法の開発に重点を置いている」。

https://ecancer.org/en/news/26232-paediatric-high-grade-gliomas-research-reveals-effective-targeting-with-avapritinib

(2025年4月1日公開)

 

 

 

 

 

 

 

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